歩行時に、踵(かかと)の内側の部分が痛くなる方がいらっしゃいました。整形外科では「原因はわからない」と言われたそう。
体重をかけるだけでも痛みがあり、異物感もある感じがするということで触ってみたところ、実際の異物(腫瘍、トリガーポイントなど)は確認できませんでした。内くるぶしの内側(内顆)の神経のところ(足根管)を軽く叩いても反応はなく(チネル徴候陰性)、神経の問題はありませんでした。
ただ、踵の骨が内側にズレていました。踵がズレるわけないじゃないかと思う方もいらっしゃると思いますが、踵は踵の上方に距踵関節、前方に踵立方関節があります。
関節というのは、どの関節も少し可動するようになっており、この少しの可動のおかげで全体の骨格としての柔軟性が保たれています。
しかし、何かのキッカケで強い圧や力が関節に加わると、関節がズレて骨が動いてしまいます。
踵が痛いとおっしゃっていた方は「そういえば、踵が痛くなる前に階段ですべったかも」とおっしゃっていました。
おそらく、すべって踏ん張った瞬間にズレたのかもしれません。
踵の骨を矯正したところ、痛みが減り、痛い範囲も小さくなりました。
立ってみると、まだ踵の異物感を感じるということだったので、痛みの場所を触ってみると踵にある踵骨下滑液包のところでした。
オステオパシーのテクニックなどで踵骨下滑液包へアプローチすると、立ったときの異物感はなくなりました。
最初に整形外科に行ってくれたのはありがたいです。
整形外科で骨のヒビや骨折無し、骨棘の存在は無し、靭帯の断裂や損傷や炎症が無いと診断してもらっているので施術がスムーズでした。
カイロプラクティックとしての関節のズレを探し、軟部組織の滑液包を施術するのみ。内臓の影響で踵が痛くなることもありますが、内臓ー体性反射の影響が少なかったので除外しました。
よく誤解されますが、整形外科ではX線像検査での関節(骨)の不整列の判断はおこなっていないので、カイロプラクターとしての関節可動域の極小化した場所へのアプローチとなります。
骨棘やヒビ、骨折、靭帯損傷、炎症などがあればしっかりと整形外科医の指示に従ってくださいね。