読むだけで体の痛みが改善する人がいます。それは痛みの原因が精神面から来る人。とくに、常日頃から不安や怒りを抑え込んでいる人は腰痛や肩こりが起こりやすいのだそう。そんな症状を、著者ジョン・サーノは「TMS(緊張性筋炎症候群)」と名付けました。
世界的に有名な代替療法の権威の紹介で知ったTMS
アンドリュー・ワイルはご存知でしょうか?世界的に有名な代替療法の権威です。西洋医学だけによるのではなく、東洋医学やアマゾンの奥地のシャーマンなど、様々な療法を取り入れてがんや難病などを改善していっている医師です。
そんなアンドリュー・ワイルの本「癒す心、治る力―自発的治癒とはなにか (角川文庫ソフィア)」の中で、TMS(緊張性筋炎症候群)に関することが書かれていました。精神面から来る体の痛みについて伝えただけで痛みが改善していった事例があり、そのことについて興味があって「サーノ博士のヒーリング・バックペイン: 腰痛・肩こりの原因と治療」を読みました。
なんでもこなせる責任感が強い人に多い症状
人の頼みをなんでも引き受けたり、家事や育児や仕事や介護などやるべきことがたくさんある人に多いのがTMS(緊張性筋炎症候群)。心の緊張によって体に痛みが出ているので、心の緊張を取ることで改善していくことになります。
なぜ腰痛や肩こりが心の問題と言えるのか?
ジョン・サーノ博士はちゃんと改善した事例が多くあります。ただ、なぜ腰痛や肩こりが心の問題と言えるのか?という理由については「TMSについて学習しただけで症状が消え去るという事実があるから」と書いています。
心の問題というのは、偽薬などを用意して実際に効果があるかどうかのデータを集めることができません。だからこそ、経験による事例が重要になります。本の内容全体を通して、根拠がないけど正当性を出そうと頑張っている感が強い印象があります。
これについては整体やカイロプラクティックやオステオパシーなどの手技療法も同じ。偽薬に変わる偽の手技を用意して効果を確かめることが難しいので、実例による経験を元に施術をしていく。
ただ、「サーノ博士のヒーリング・バックペイン: 腰痛・肩こりの原因と治療」を読んで思ったのは…著者はプライド高いな!というところ。同業者というか、痛みの改善について考えている者としては正直プライドの高さが気になってしょうがなかったです。とりあえず改善した人がいるということは理解できました。
TMSでの痛み改善は、自己催眠や暗示に近いかも
本は、心の問題が腰痛や肩こりとして起こるということを学習してもらうためのものです。この学習の過程で自己催眠や暗示が起こるのではないかと思います。
これはかなり素晴らしいことです。心の問題は、通常なら自分で乗り越えたりカウンセリングを受けたりしなければなりません。しかし、ヒーリングバックペインを読むことで抑圧していた不安や怒りに気づき、それが痛みの原因だと理解することで腰痛や肩こりが消えていきます。
もちろん、心の問題だった場合に改善されることになります。内臓が原因だったり骨格のズレが原因だったりトリガーポイントが原因だったりしたら、「サーノ博士のヒーリング・バックペイン: 腰痛・肩こりの原因と治療」を読んで改善するかどうかは微妙なところです。
とりあえず、なかなか腰痛や肩こりが改善しない人は読んでみた方がいいと思います。