ヨミドクター(yomiDr.)というサイトに
「眼鏡がかけられないなんてありえない」…医師の思考停止から生まれる「心ない回答」
という記事がありました。
60代の男性、ベテランのタクシー運転手が数年前の追突事故でムチウチになったのだそう。
追突事故をきっかけにメガネをかけると「3分ほどで目がぼやけ始め」「急激に頭の奥に痛みを感じ」「目の奥にも惹きつけるような痛み」があるのでメガネをかけていられないと書いてあります。
眼科を受診しても目は正常、MRIでも正常。
自覚症状があるのに、医師に診断書を書いてもらえないのだそう。
ちなみに、この症状での改善例は手技療法に多いのが特徴です。
目の異常、脳の異常以外で起こる症状、それは…
首の筋肉が原因で、目の奥の痛み・目がぼやける・頭の奥の頭痛
ムチウチを受けると、首の前面にある胸鎖乳突筋という筋肉が過緊張状態になります。
追突事故の衝撃で頭が前方へ高速で動いた際に反射が起きて首の前面の筋肉が過緊張状態になります。
反射と言われると難しく聞こえるかもしれませんが、熱いものを触ったときに瞬時に手を引っ込めたり、画鋲(がびょう)を踏んだ際にすぐに足をあげる動きが反射です。自動的に起こる体の仕組みです。
この胸鎖乳突筋が緊張状態だと、胸鎖乳突筋の内側にある動脈・静脈・神経を圧迫してしまいます。
目のぼやけの原因が交感神経のことも
まず、目がぼやけるのは交感神経が影響していることがあります。
胸鎖乳突筋が緊張しすぎると、交感神経節という少し膨らんだ神経の部分を圧迫してしまうことがあります。
目のピントを調整する瞳孔は、交感神経の影響を受けます。瞳孔が散大しているとピントが合わないし、目に光が入りすぎてずっと眩しく感じることがあります。さらに、まぶたさが下がってしまうことも。この症状をホルネル徴候といいます。
ムチウチではなくても、整体やカイロプラクティックなどを受けた際に「目がスッキリした」「視界がクリアになった」という体験をした人も多いと思いますが、それは胸鎖乳突筋緊張による交感神経の圧迫が取れたおかげです。
ちなみに、アメリカの研究で「ネクタイを締めると緑内障になる」というものがあります。これはネクタイを締めることによって胸鎖乳突筋が緊張したり首の前面が圧迫されることによって交感神経が過緊張状態になり、目の毛様体筋が緊張して瞳孔が開いたままになり、眼球の眼房が排出されなくなって眼圧が上がり、緑内障になると考えられます。緑内障の治療には交感神経を遮断する作用のある薬が使われることがあります。緑内障に使っていた目薬は、薄毛に悩む人にも使われています。リアップが有名ですね。
目の奥の痛みの原因は、静脈
MRIで脳に問題がないのなら、目の奥の痛みは頸部の静脈が影響していることがあります。
この静脈も、胸鎖乳突筋が過緊張状態になると静脈が圧迫されて頭から心臓へ戻る静脈血の血流が低下してしまいます。とくに目の奥の静脈が滞ると血管が膨らんでしまい目の奥が痛くなってしまいます。
ムチウチ以外でも、デスクワークの方などでよくこの症状があります。整体やカイロ、鍼灸などで目の奥の痛みが改善している例が多いのは、胸鎖乳突筋の緊張が緩和されて静脈血の血流が良くなったからです。
頭の奥の頭痛は椎骨動脈が影響することも
首の骨の椎骨には、椎骨動脈という脳へ繋がる動脈があります。
首の骨が回旋した状態でズレたり、頭蓋骨と首の骨の一番上の骨の隙間(環椎後頭関節)が狭まりすぎたりすると、椎骨動脈からの脳への血流量が減ってしまい、痛みを感じることがあります(虚血)。
血行障害性疼痛は手足の指先に起こりやすいですが、それの脳バージョンと考えられます。
ムチウチではなくても、ズキズキとする拍動性の後頭部痛を感じたり、首を傾けると「ウンウンウン」という拍動性の音が聞こえる人もいるかもしれません。
もしもムチウチなら、カイロプラクティックの「ポジショナルリリース」や、オステオパシーの「ストレイン・カウンターストレイン」という手技が有効になります。
さらに頸部の矯正を行うと改善も早くなります。何度か施術が必要になり、実費での施術となります。
ただ、ヨミドクターの記事では「診断書」という部分が気になります。
もしも改善よりは「診断書が欲しい」というのが優先しているのなら、医師しか出せません。保険会社が納得する画像診断や数値での検査をして症状との因果関係となる医学的根拠を出すには相当苦労すると思います。患者中心のアメリカならまだしも、病院や医師中心の日本なので診断書を出してくれる医師が何科にいるのかわからないです。
せめて総合診療科でしょうか?もしくは、ヨミドクターの記事を書いた医師に相談した方が早いかもしれません。